宝塚ではなく…歌舞伎の話題から。

京都南座の顔見世では、市川海老蔵さん休演のため、代役が立てられています。
昼の部『阿国歌舞伎夢華』の名古屋山三は片岡仁左衛門さん、夜の部『外郎売』の曽我五郎は片岡愛之助さんと、松嶋屋のお二人が。

あの座組みでは1番最適な配役。しかし最初は「えぇっ?」と。
だって仁左衛門さんは海老蔵さんよりずっとずっと先輩。先輩が後輩の代役をするなんて、宝塚では考えられません。
そして、まだまだ家柄が重視される歌舞伎の世界で、部屋子出身の愛之助さんが主役。

「海老蔵さんを観たかった…」というファンの方はお気の毒ですが、『阿国歌舞伎夢華』では、孝夫(仁左衛門さん)&玉三郎の“孝玉コンビ”が復活!
また、梨園の生まれでなくとも、力のある役者は主役をはれるという事実。これがなんともうれしいですねぇ。


休演する人には申し訳ないですが、代役とは最高のチャンス。
特に今回の愛之助さんのように、成田屋お家芸の『外郎売』など、演じる機会のない大役となれば尚のこと。
代役は大いに評価され、今後の配役やご贔屓さん獲得にもつながります。

「よくやっていたね」
「代役とは思えないほど素晴らしかったね」
「本役に負けてないね」
「今度はこの人の、あんな役もこんな役も観てみたいね」
「い~い役者だねぇ~」


しかし代役を務める側にとっては複雑な思い。
まず「時間が足りない!」から始まり、プレッシャー、緊張、不安に押し潰されそうになるでしょう。

それに(今回の海老蔵さんに対してはイロイロモロモロな感想がおありでしょうが…)誰だって、休演したくて休演するわけじゃありません。
「健康なのも芸の内」なんて言われますが、どんなにしっかりと体調管理をしていても、病気や怪我はしますって。

休演するって……とっても辛いこと。
舞台人が休演するって、とっても辛いこと。
「自分がいなくても幕は開く」……とっても辛いこと。

それが皆、痛いほどわかっているから、代役する側は「やったぁ~!チャンスだぁ~!」などど喜べるものではありません。

ただ、自分のできることをすべてやるのみ。
本役であろうと代役であろうと、チケット代を払って劇場にいらして下さったお客様には関係のないことですものね。


やはり……まずは休演者の出ないことが1番。
昨年、インフルエンザで休演者が続出してしまった宝塚歌劇、今年はどうか皆さん元気で舞台を務めることができますよーに。