桜木星子の“宝塚×MAG”

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宝塚歌劇を「知って」「好きになって」「もっと楽しんで」いただくためのMagazine

化粧前

9月 9日

真っ白な化粧前

「その1」「その2」に続き、化粧前のお話。
今回は、退団者のみが使用する、真っ白な化粧前…です。

宝塚歌劇団を退団する際の公演――サヨナラ公演。
そのサヨナラ公演の千秋楽の10日ほど前から、それまで使っていた色とりどりの化粧前が、“退団=白”のイメージ通り、真っ白な化粧前に変わります。

白の化粧前を作るのは、普通の化粧前を作るのと同じく、その生徒のファンの方。
しかしファンの方は楽屋には入れません。
白い化粧前に取り替えるのは、同期生が中心。
同期生は同じ組に限らず他の組や、退団した同期までが参加することもあります。

同期生たち、普段なら、開演2時間前ぐらいに楽屋入りするのに、その日は3時間以上も前に楽屋入り。
同期生でこそこそと、座布団カバーやスリッパにいたるまで白い化粧前に交換。
そして、鏡をはじめ、イロイロなものが白い造花などで飾りつけられます。

これすべて、退団する生徒さん本人にはナイショ。
退団する生徒さん、いつもと同じく楽屋入りし、真っ白に変わっている自分の化粧前を見て……驚く!

でもね……薄々は感じるのですよ。「そろそろかな」と。
楽屋口辺りで「あっ……今、やってるね…」と。
だけど、感づいていないフリをするのも、これ、優しさかな。

退団者の白い化粧前


この白の化粧前がいつから始まったのかは定かではありませんが、ファンの方の「真っ白にして送り出してあげよう」という想いと、同期生や組子たちの「退団するその日までに、もっと何かしてあげたい」という想いが一つになったのでしょう。

化粧前が真っ白になると、退団するその日がすぐそこに来ていることを改めて感じます。
サヨナラまでのカウントダウン。
一瞬一瞬が大切。
退団者のその時の気持ちは……「淋しい…」。そのひと言に尽きます。

9月12日、雪組トップスター・水 夏希さんをはじめ、トップ娘役・愛原実花さんら10名が退団します。
もちろん10名の化粧前はもう真っ白。

あまりにも周りが温かくて優しいから余計、「淋しい…」だけど「幸せ…」を感じている……そんな時かな。
9月 1日

化粧前 その2

今回は、鏡台で使う布製品の化粧前のお話です。

主な4点は、鏡台に並んだ化粧品の上に掛ける“上掛け(うわがけ)”、下に敷く“下掛け(したがけ)”、ティッシュカバー、座布団カバー。

楽屋の化粧前

なぜそのようなものがいるのかと申しますと…化粧品に埃がかぶらないため。鏡台を汚さないため。そしてオシャレのためでしょう。
昔は手拭いなどを使ったのでしょうね。それが今や、サテンやレースで衣装のように華やかな化粧前に。
私が在団中もすでに今のような豪華なものでした。

これを作るのはファンの人。と言っても誰でも作れるわけではなく、生徒さんやファンクラブの代表さんに頼まれた人です。

化粧前は、公演ごとに新しいのを使います。
その生徒さんの好みや作品のイメージなどに合わせ、毎回違う化粧前を作るアイデアと作業は大変なものでしょうね。

サイズですが、共通ではありません。
各劇場によっても鏡台そのもののサイズが違いますし、上級生と下級生によっても使用する化粧前の個数が違います。
使用するもの(ティッシュや座布団)の大きさも違います。

そしてやはり、スターさんや上級生は豪華!
逆に下級生は地味目に。「フリルは何cm以下に…」などファンの方々の間での決まりもあるそうです。

他、化粧前と同様にデコられた楽屋着やスリッパ、座椅子カバー、ポットカバー、おかもちを飾る布なども、化粧前と称し、同じくファンの方が作ります。



生徒は楽屋入りすると、まず上掛けを外し、棚の上に片付けます。
ここから長い、もしくはあっという間の1日が始まります。

縦に長~い大きな楽屋に、大勢の生徒がいます。
横にも後ろにも誰かがいます。
でも、自分の化粧前にいると、とっても落ち着くものです。
集中したい時、考え事をしたいとき、心の中だけでもいいから泣きたいとき……。そんなとき周りにバリアを張れるのが化粧前というスペース。
それは、ファンの方が心を込めて作ってくれた化粧前が、個々の世界、我が家のような空間を作ってくれるからでしょう。

上掛けを掛け、楽屋を出ます。
「今日も頑張れたかな…。明日はもっと頑張るぞ」。
8月 26日

化粧前 その1

「化粧前」という言葉には2つの意味があります。

1つは、楽屋の化粧をするための鏡台のこと。
もう1つは、それに掛ける布のこと。


まずは鏡台の化粧前。

化粧品がずら~っと並ぶ引き出し付きの机。
前面には明るい照明付きの大きな鏡。
その上にはカツラやカゴが置ける棚。

これを化粧前と呼びます。

ひとり1つですが、上級生になると2つ使ってもOK。
上級生になるにつれ置くものも多くなりますから。

もちろん、ドライヤーやら加湿器などが使用できるコンセントも個々に付いています。

宝塚大劇場の楽屋はスリッパを脱いで上がる和室風ですが、東京宝塚劇場やバウホールは椅子です。
いずれにしろ賑やかで華やか。


生徒さんがよく言う「化粧前」は、この鏡台の化粧前でしょう。
「小休憩、化粧前に来てよ~」「マツゲケース、化粧前に置いておいて~」……

舞台稽古の戸惑いも、初日や新人公演の緊張も、千秋楽の寂しさも、公演1ヶ月で感じた多く感動や喜びもみんな知っている…
単なる鏡台ではない、自分の部屋のようなスペースかな。
プロフィール

桜木星子

元タカラジェンヌ&いち宝塚ファンの視点から宝塚歌劇の魅力をご紹介します。
All About「宝塚ファン」ガイドを務めています。Twitterフォローよろしく
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