宝塚歌劇の魅力の一つ、それは衣装。
豪華なもの、宝塚特有のものなど、たくさんの衣装が観客の目を楽しませてきました。

そんな衣装の中に“ダルマ”と呼ばれるものがあります。

これは、ワンピース型の水着のようなデザインをしている衣装。
なぜ“ダルマ”と呼ばれているのかと言うと、手と足が付いていない達磨を例えて。

腕も足も出ているため露出度はかなり高いと言えますが、そこはすみれコードのある宝塚。
目のやり場に困るようなものではありません。

羽根飾りやスカートが付いているものなど、ダルマにも色々なデザインがあります。
中には、ダルマを進化させた“タコ足ダルマ”と呼ばれる衣装も。
これは、裾にリボンのような紐が、タコの足のようにひらひらと付いているダルマのことです。


主にダルマが登場するのはショーやレビュー。
ラインダンスの衣装はほぼダルマで、40名ほどのダルマ姿は圧巻。
足をきれいに見せるためにも、ダルマは必需品です。


男役・娘役問わずダルマを着ますが、ファンに人気なのが意外にも男役のダルマ姿。
プライベートでもスカートを履かない男役の脚線美は、娘役にはない色気があるからでしょう。
羽根飾りの付いた黒のダルマに、黒の羽根鬘を被った男役なんてキレイですよね。

伝説として語られている男役のダルマ姿は、1961年『華麗なる千拍子』の寿美花代さん。
私も写真で拝見しただけですが、パイナップルの女王に扮した寿美さんの妖艶な美しさは、当時、それはそれは話題になったことでしょう。


大勢の観客の前で“足を出す”ダルマは、観る側には楽しみな衣装でしょうが、着る側には何かと神経を使う衣装です。
足さばきや、ちょっとしたポーズをとる時の足の向きにも、普通の衣装とは違う注意が必要。
腕や背中、ウエストなど、体のラインがすべてわかってしまいます。

いかに美しく見せるか……。タカラジェンヌたちは、日々努力しているのです。