宝塚音楽学校と宝塚歌劇団で学んだアレコレは、一生の宝物。
そんなアレコレをお話します。

「才能は努力が作る」

唐突ですが……中学生の娘のお友達Kちゃんの話。
Kちゃんはとても賢く、通知表なんてオール5。
Kちゃんのお父様は、T大大学院卒で国立の大学教授。

娘は言います。「頭のいいDNAを受け継いでいるもの。賢くて当然だよ~」

私は反論します。「それは違う。Kちゃんに対して失礼だよ」と。


そう思うようになったのは……

宝塚在団中。ある公演の新人公演の稽古でのこと。
ダンス場面で、上級生Aさんのポジションを踊ることになった下級生Bさん。
振りうつしの後も度々Aさんに見てもらい、その度に注意を受け…

Aさんの言い方が強かったようで、落ち込んでいるBさん。

Bさん「Aさんは踊れるから…。踊れない人の気持ちがわからないんだよね…」

聞いた時は「あぁ、そーゆうものか…」と思ったが、少しして「いや、違うよ」と。


Aさんは踊れる。
だけどAさんは生まれながらにしてダンスの才能があったのか? ……んなわけはない。

確かに、骨格や筋肉の付き方などによって踊りやすい体つきというものはある。
また、いつからバレエやダンスを始めたかによっても、ダンスの上手い下手に関係する場合もある。

でも、ダンスに向く体型とは言えない人や、バレエの経験がほとんどなく宝塚音楽学校に入った人の中にも、後に名ダンサーと呼ばれるようになった人が何人もいる。

きっとAさんも、人知れず努力をしたのだろう。
“踊れない人の気持ち”なんぞに浸るより“踊れる自分”を目指して。

結局は努力。努力が実力を生み、才能を育てる。


だから娘に言います。
「Kちゃんは努力したんだよ。そして努力は、誰にでもできる。貴女にも」。

そう。大人の私たちにも…ねっ。