最下級生とは文字通り、一番下の学年のことです。
一番下と言っても、入団1年目の研1だけを指すのではありません。
最下級生とは、その公演での一番下。組子全員が出演する本公演では研1になりますが、その他、選抜メンバーによる公演ではそのつど変わります。

“最下級生”という言葉がある以上、最下級生には役割があるわけです。

例えば……稽古場では、稽古で使うセットをタイミングに合わせて出し入れしたり、小道具を上級生に手渡したり、劇団宛てに届いたファンレターを配ったり。
楽屋では、早替りのお手伝いをはじめ、衣装や小道具を忙しい上級生に代わって運んであげたり。

たとえトップスターであろうとも、ヘアーメイクさんや付き人など存在せず、すべて自分でやらなけれ
ばならないのが宝塚。
そのできない部分を、出番もまだまだ少なく時間的に余裕がある最下級生がやるのです。

つまり雑用係りのようなものですが、“上級生をよく見る”“そばにいる”というこれだけで勉強にな
ります。
どんなスターも最下級生を経験し、そこで何かを学んだのです。


公演全体だけではなく「○○の場面の最下級生」などにも使います。
上級生の中に一人ポツンと最下級生で入ったりすると、緊張すると共に、うれしいものです。

“最下級生”=抜擢とも言えるので、ファンの方々も注目します。
「8人口(8名での主にダンス場面)の場面の最下級生、○○ちゃんだね。まだ研3なのに凄い~」なんて。


昔。月組の何かのショーを観ていた時。確かカーテン前のダンス場面でした。
下手の端で踊っていた、まだあどけないけれどキラキラ光っていた美しい男役に「最下級生のあの子、ものすごくイイなぁ~」と思ったっけ。
それは、若かりし頃のゆりちゃん……天海祐希さんでした。