これこそ宝塚ワードではないかしら? “おかき”。
“おかき”とは、衣装に付いている名札のこと。

なぜ“おかき”と言うのかって……?
小さくて四角い形がおかきに似ているから? 名前を書くから?
……さぁ、謎です。

ひとつの公演の出演者、約70名。
それぞれが、何枚、何十枚の衣装やその付属品を使います。
中には同じ衣装もたくさん。
だから、名札を付けておかないと大変なことになるのですよ。


“おかき”は5cm×3cmぐらいの小さい白い布。
そこに、芸名の苗字だけがマジックで書かれています。
それを衣装部さんがひとつずつ手で縫い付けます。

“おかき”が付いている場所は、吊るしてある時には見える場所、着れば見えない場所。
男役さんの上着なら、後ろの襟元。
娘役さんのドレスなら、胸元か背中の上部。

日本物の着物にも、下着類にも、網タイツにも、背負い羽根にも、帽子にも“おかき”は付いています。
まるで幼稚園児のごとく、すべて名札付き!


そうそう。
本来“おかき”はお客様から見えない場所に付いているのですが、たま~に見える時が。
例えば……
銀橋の上、帽子を脱いで手に持って踊っている……
ちらっと見える白いモノ、それが“おかき”です。