宝塚音楽学校と宝塚歌劇団で学んだアレコレは、一生の宝物。
そんなアレコレをお話します。



「言われるうちが花」

宝塚音楽学校でも宝塚歌劇団でも、多くのことを、先生方や上級生が指導します。
礼儀作法や心構え、演技全般、化粧や衣装の着こなしなど舞台に関わるすべて。

それは「正しいタカラジェンヌのありかた」であり「宝塚歌劇にふさわしい舞台人」になるために必要なことばかり。

優しく教えてくださる人もいますが、内容によっては、口調も厳しくなります。
“親にでさえそんな言われ方したことないわ”な怒鳴り方をなさる先生もいれば、“ナゼそんなにガミガミとぉ?”な上級生も。

でもそこに相手の愛情を感じます。
「私のために…」「この作品をよくするために…」という愛情を感じます。
だから「ご指導下さりありがとうございます」と素直に思えます。

余談ですが……
二人の娘の親として、私は娘たちにガミガミ叱ったり、しつこく言い続ける毎日。
時には「これ、何度、言ってるだろう…」と言うのが嫌になったり、「言っても無理かな~?」なんて匙を投げ出したくなるときも。

そう。言われる側より、言う側のほうが大変なのです。

「教える」「伝える」「叱る」……これすべて、どれほどエネルギーのいることか。
決して気分のいいものではなく、できればやりたくない。
教えるからには、お手本となれる自分でいなければならないし、いい加減なことは言えない…。
本当なら、自分のことだけ考えていたいのに…。

それでも言ってくれる上級生の存在は、本当に有難いものです。


「言う」ということは「諦めていない」ということ。

だから――言われるうちが花。