今回は、鏡台で使う布製品の化粧前のお話です。

主な4点は、鏡台に並んだ化粧品の上に掛ける“上掛け(うわがけ)”、下に敷く“下掛け(したがけ)”、ティッシュカバー、座布団カバー。

楽屋の化粧前

なぜそのようなものがいるのかと申しますと…化粧品に埃がかぶらないため。鏡台を汚さないため。そしてオシャレのためでしょう。
昔は手拭いなどを使ったのでしょうね。それが今や、サテンやレースで衣装のように華やかな化粧前に。
私が在団中もすでに今のような豪華なものでした。

これを作るのはファンの人。と言っても誰でも作れるわけではなく、生徒さんやファンクラブの代表さんに頼まれた人です。

化粧前は、公演ごとに新しいのを使います。
その生徒さんの好みや作品のイメージなどに合わせ、毎回違う化粧前を作るアイデアと作業は大変なものでしょうね。

サイズですが、共通ではありません。
各劇場によっても鏡台そのもののサイズが違いますし、上級生と下級生によっても使用する化粧前の個数が違います。
使用するもの(ティッシュや座布団)の大きさも違います。

そしてやはり、スターさんや上級生は豪華!
逆に下級生は地味目に。「フリルは何cm以下に…」などファンの方々の間での決まりもあるそうです。

他、化粧前と同様にデコられた楽屋着やスリッパ、座椅子カバー、ポットカバー、おかもちを飾る布なども、化粧前と称し、同じくファンの方が作ります。



生徒は楽屋入りすると、まず上掛けを外し、棚の上に片付けます。
ここから長い、もしくはあっという間の1日が始まります。

縦に長~い大きな楽屋に、大勢の生徒がいます。
横にも後ろにも誰かがいます。
でも、自分の化粧前にいると、とっても落ち着くものです。
集中したい時、考え事をしたいとき、心の中だけでもいいから泣きたいとき……。そんなとき周りにバリアを張れるのが化粧前というスペース。
それは、ファンの方が心を込めて作ってくれた化粧前が、個々の世界、我が家のような空間を作ってくれるからでしょう。

上掛けを掛け、楽屋を出ます。
「今日も頑張れたかな…。明日はもっと頑張るぞ」。