私たちの普段の生活の中で「羽根」なるものと接することはあまりありません。せいぜい羽根布団? 和服の際の飾り? 赤い羽根募金?

非現実的ワールド宝塚では、羽根が大活躍。

髪飾りや羽根扇、そしてフィナーレの時の衣装に付いている羽根。
ファンの方が「羽根!」と呼ぶのは、この羽根のことです。
中でも、トップスターの羽根が1番有名。

トップさんの羽根の重さは、約10キロ。
……10キロ……よ。
2歳ぐらいの子供をおんぶしている…。お米10キロを背負っている…と思っていただければ。

でも、子供をおんぶしたまま、階段26段を、シャンシャンを手に、なるべく下を見ずに降りることはありません…
お米10キロ背負い、ヒールの高いブーツを履いて、銀橋を笑顔で悠々と歩きはしません…

トップスターお披露目公演の時、トップさんはこう言います。
「トップスターの重責を、羽根の重みで感じる」と。

そう。10キロの重たい羽根を背負うトップさんは、多くのモノを背負っているわけです。
宝塚歌劇団のトップスターとしての責任。観客の期待。組子らの尊敬や信頼の気持ち。
重いよね……

でもそれが、拍手や笑顔や感動の涙となって返ってくるのだから。
あの10キロは、幸せの重みでしょう。


さて、羽根はどのようになっているのか…?
昔は、ランドセルのように両肩に掛けるという形でしたが、それだと見た目が美しくない…。
なので現在のは、ワイヤーを使って衣装にくっ付いています。

羽根自体の種類は、オーストリッチ、キンケイ、ギンケイなど。
色もデザインも、その作品、そのトップさんに合わせた完全オリジナル。

こんなものを背負ってしまう生徒さんは凄いけれど、こんなものを作ってしまう宝塚のお衣装部さんも、ホント、凄いわ。


羽根の大きさが、その組の生徒のポジションをあらわしているようなもの。
トップスター、トップ娘役、二番手、三番手、四番手……と、小さくなってゆきます。
全員が背負うわけではなく、下級生は背負わなかったり、一本立ての作品の場合はトップさんだけだったり。

応援していた生徒さんの羽根が大きくなったら、ファンの方はうれしいでしょうね。
「いつか、あの1番大きな羽根を……」みんなそう願うものです。


では、続きはまた明日。