7月10日、つかこうへいさんがお亡くなりになりました。
肺ガンであることを公表なさってから約半年。
62歳の早過ぎる最期でした。

愛娘みな子さんは、雪組トップ娘役の愛原実花。
彼女は今、トップスター・水 夏希と共に、自身のサヨナラ公演『ロジェ』『ロック・オン!』の真っ最中です。

つかさんは10日(土)午前10:55分に家族に看取られながらお亡くなりになりましたが、それは宝塚大劇場11:00公演の開演5分前。
お父様がお亡くなりになるその頃、みな子さんは、それを知ってか知らないでか、衣装を着替え終え、舞台袖にスタンバイしていたことでしょう。


どこか体調が悪い時に立つ舞台は、とても辛いものです。
同じく、心配事のある時の舞台も、本当に本当に苦しいものです。

タカラジェンヌだって人。
様々な悩みや心配事を抱えています。

なぜ今、ここにいなくてはいけないんだろう…
なぜこんな時に、笑わなくてはいけないんだろう…
なぜ……舞台に立たなくてはいけないんだろう…

理由はどうであれ、タカラジェンヌたちがみな経験し、乗り越える思いです。

その中でも最大の理由が、大切な人の死でしょう。

公演中、大切な人を亡くされた方を何度も見てきました。
化粧が落ちるから…と泣くことさえできず、ただただ気力のみで乗り切る姿に、こちらの胸も張り裂けそうでした。
「芸人は、親の死に目には会えない」……なのです。


折りしも、みな子さん…愛原実花にとって、最後の舞台です。
トップ娘役という重責も担っています。
お父様のご病状を心配しつつ稽古をし、初日の幕が開き、ヒロインを務め……
その苦しさは、計り知れません。
辛かったよね……


みな子さんの宝塚人生、あと2ヶ月余り……
なんとかそれまで……とみんなが、1番につかさんご本人が思われたことと思いますが、それは叶いませんでした。
しかしおそらくどの生徒の親御さんよりも、舞台の厳しさをわかっていらっしゃいますよね。
ご自身の最期の時も舞台に立っていた娘を、誇りに思われたことでしょう。
そしてきっとどこかから見守っていらっしゃることでしょう。
「頑張れ! 」


偉大なる劇作家、演出家、つかこうへいさんのご冥福をお祈り申し上げます。


そして9月4日(土)より全国ツアーにて【『銀ちゃんの恋』-つかこうへい作「蒲田行進曲」より-】が、宙組・大空祐飛主演にて再演されます。

つかさんはお亡くなりになり、愛娘ももうすぐ退団しますが、もう一つの娘、作品という娘が、宝塚歌劇団にこうして残ります。